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命を守るための耐震補強。地震に備える住まいづくり

既存住宅における耐震強度不足の現状

日本は世界有数の地震大国ですが、実は多くの既存住宅が現在の耐震基準を満たしていないという深刻な問題を抱えています。特に、

  • 1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅

  • 2000年(平成12年)以前で、構造計算や接合金物の規定が不十分な住宅

これらは、現行の耐震基準(新耐震基準・2000年基準)に比べて、大地震に対する安全性が著しく低い可能性があります。

国や自治体の調査でも「震度6強~7クラスの地震で倒壊・大破するおそれがある住宅が、今なお多数存在している」という現状が明らかになっています。

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能登半島地震で倒壊した木造住宅(2024年1月3日、石川県輪島市)
/暮らしのなかに防災ニッポン 読売新聞オンライン

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熊本地震 地震で被害を受けた民家=2016年5月15日午後、熊本県益城町(共同通信社ヘリから)共同通信/時事構想

耐震等級から見る 安全性の差

住宅の耐震性能は耐震等級という指標で表されます。

耐震等級1・・・建築基準法で定められた最低限の耐震性能
        (震度6強~7程度の地震で「倒壊・崩壊しない」ことを想定)

耐震等級2・・・等級1の1.25倍の耐震性能(学校や病院などに求められる水準)
耐震等級3・・・等級1の1.5倍の耐震性能(消防署・警察署など防災拠点レベル)


ここで大切なのは、等級1は安心の基準ではなく、命を守るための最低ラインであるという点です。

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既存住宅の中にはこの耐震等級1(2000年6月~建築基準法レベル)に達していない住宅が数多く存在します。特に旧耐震基準で建てられた住宅では、

  • 壁の量が圧倒的に不足している

  • 壁の配置バランスが悪い

  • 柱や梁の接合部に金物が入っていない

  • 基礎が無筋、または劣化している

といった要因が重なり、強い揺れに耐えられない構造になっているケースが少なくありません。

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熊本地震 2度目の震度7の揺れで家屋が倒壊し、道をふさいだ(2016年4月16日撮影)/暮らしのなかに防災ニッポン 読売新聞オンライン

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進まぬ耐震化、被害拡大要因か 能登半島地震死因9割「家屋倒壊」全国で同様の懸念
石川県珠洲市内では1階部分が押しつぶされた家屋が目立つ(彦野公太朗撮影)/産経新聞

今できる命を守る補強を

旧耐震基準の住宅をリフォーム工事によって耐震等級3まで引き上げることは不可能ではありません。
しかしそのほとんどの場合、大規模な工事と非常に高額なコストがかかります。

だからといって、「等級2、3までできないなら、耐震補強は意味がない」ということではありません。

今の住まいより、少しでも倒壊しにくくすることが、地震時の生存率を大きく高めます。

耐震補強の本当の目的は、等級の数字を上げることではなく
地震が起きた瞬間に、「家が一気に崩れないようにする」ことです。

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1995年1月17日、淡路島北部を震源とする最大震度7の阪神・淡路大震災が起こりました。この地震で多くみられたのが特定の階が押しつぶされてしまったビルや民家。犠牲者6434人の7割以上が建物の倒壊を原因とする圧死などで亡くなりました。/MBS NEWS

耐震等級1を満たしていない住宅では、
震度6強クラスの地震で

一瞬で状況が変わる可能性があります。

  • 倒壊を防ぐ

  • 家の中に生存空間を確保する

  • 家族が逃げる時間をつくる

 

そのために、耐震補強は不可欠です。

まずは今の住まいより

「少しでも安全な状態」にすることが大切です。

​■倒壊を防ぐための耐震補強

旧耐震基準の住宅では壁の量や配置が不足しているケースが多く、強い揺れによって一気にバランスを崩し倒壊につながる危険があります。

耐震補強では、

  • 耐力壁の追加

  • 壁配置バランスの改善

  • 柱・梁・土台の接合部補強

などを行い建物全体で揺れに耐える構造に近づけます。

これにより地震時の急激な変形や倒壊のリスクを大きく減らします。

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建物全体の壁配置バランスから判断し、筋交いや構造用合板打ち付けで壁を補強したり、柱や筋交い、梁などの接合部分に金物を設置するなど、様々な耐震改修方法があります。

生存空間を確保する耐震補強

地震による被害で最も危険なのは、建物が一気に潰れ、中にいた人の居場所がなくなることです。

耐震補強によって、主要な部屋の壁を重点的に補強したり、建物の変形を抑えたりすることで、家の中に空間が残る状態をつくります。

たとえ大きな損傷を受けたとしても、完全な倒壊を防ぐことで命を守れる可能性が大きく高まります。

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「隙間にいる」倒壊家屋の中から声 高齢女性を救助 石川震度6強=石川県珠洲市正院町正院で2023年5月5日、深尾昭寛撮影/毎日新聞

家族が逃げる時間をつくる耐震補強

耐震性の低い住宅では、
揺れ始めてから数秒で状況が一変することがあります。

出入口が歪んで開かない、家具が倒れて動けなくなるといった事態を防ぐためにも、耐震補強は建物の変形を抑え、行動できる時間を確保する役割を果たします。

数十秒でも「逃げる時間」「身を守る時間」が生まれることが、生死を分ける大きな差になります。

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阪神・淡路大震災と同じ規模の揺れが起きると、耐震補強なしの家屋は大きく揺さぶられて壁や柱が崩壊、1階部分が一気に潰れてしまいました。この現象が層崩壊です。/MBS NEWS

完璧でなくても、耐震補強は意味がある

耐力壁の新設・補強、筋交いや構造用合板による壁補強、柱・梁・土台の金物補強などの工事をすべて一度に行う必要はありません。
家全体で行うことが出来なくても、弱点となっている部分を見極め、必要なところから補強することで無理のない耐震対策が可能です。
耐震補強が、命を守る確かな備えになります。

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建物の倒壊の多くは、地震の強い揺れと2階の重みに耐えきれず1階部分が先につぶれてしまうことが原因です。
特に既存住宅では、居間や縁側がある1階に窓が多く配置され耐力壁が不足しがちです。さらに2間続きの和室など、現在の耐震基準から見ると強度が不足する間取りも多いです。

家全体を耐震改修する場合、建物の規模や構造、改修方法によって異なりますが、相応の費用が必要となります。例えば、最低限の居住空間や1階部分だけを重点的に補強する耐震改修も可能です。

建物全体のバランスを見ながら必要な場所に耐力壁を設置し、基礎と柱を緊結する金物を取り付けるなど、現場ごとに最適な方法を選ぶことが重要です。
そのためにはプロの目線で現状を正確に把握し、無理のない補強計画を立てることが欠かせません。

​/リフォまる 加藤嗣晃

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